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最終更新日: 2024-05-01 13:21:33
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2024年01月16日 12:53
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古代史万華鏡クラブ~韓日古代史の謎を解く 講師:勝股優
任那日本府はあったのか 第7回最終章

 古代の韓半島文化をこよなく愛した司馬遼太郎氏は70年代に慶尚南道の金海市を訪ねた時に、この地と古代の倭との関係に思いをはせ、ヨーロッパ人がギリシャやローマ文明に想いを抱くのと同じように、今の日本人は古代の金海との濃密な関係を忘れてはいけないと書いている。
古代韓半島と倭(日本)との関係は高句麗や百済、新羅に偏りがちだが、むしろ加耶との関係が重要ではないかということだろう。

古代、いつのころからか海沿いの韓半島南部と北九州の双方に同じような生活文化を持つ種族が住むようになっていた。倭人である。中国南部からやって来たらしい。魏志倭人伝に潜水して魚を獲ることが得意で、体に文身をしていたと書かれている。韓伝にも弁辰(後の加耶)の人の風習は倭人に近く、文身をしている――と、記されている。
加耶の住民は北方系(ツングース)と南方系が混血した韓族と倭人が主体(中国人もいたであろう)で、韓族との混血を含めると倭種の方が多かったであろう。そこには弥生時代の日本列島よりはるかに進んだ文化と技術があった。加耶の倭種からいえば、北部九州は奥座敷のようなものではなかったか。玄界灘の”玄”には「奥」という意味があると言ったら考えすぎか。双方の倭種・倭人は小船で往き来し、草莽の列島は加耶を経由した大陸の先進技術と文化を得て、にわかに文明に近づくことになる。
加耶は数百人、多くて数千人の小さな国々に分かれていたが、金海は金官加耶とも任那加耶とも呼ばれ、加耶諸国の盟主であった。魏書には弁辰は鉄を産出し、周辺の韓人や濊、倭人が競い合って交易に来ているとある。
弥生時代、倭にも各地に小国家があったがハイテクの鉄の入手に関して韓半島に対峙する九州が圧倒的に優位であった。輸入した鉄鋌を加工した弥生時代の矢尻の発掘数からそれは明白だ。福岡県は最多の398個、それに次ぐのは熊本県の339個。大分県が241個で続く。それに対して邪馬台国最有力候補の奈良県はたった4個。河内王朝説のある大阪府でも40個。交易の流れがよくわかる。
同種族でも仲がいいとは限らない。現在でも国益を優先して争うことが多い。しかし加耶と倭の関係は永く良好だったようだ。加耶から渡来した東漢氏や西漢氏、秦氏などが活躍、今も”カヤ”の地名が各地に残っている。
逆に加耶と新羅は同種でありながら仲が悪かった。三国史記に倭人の新羅への侵攻が多く載っている。紀元前50年の「倭兵、辺地をうかがう」を初出に西暦300年までに「倭兵来攻す」「倭人、国境を侵す」「倭兵、金城を囲む」「倭兵、干老を殺す」など侵攻記事が13例も出ている。この時代、多数の倭人が海を渡り韓半島まで攻め込めるほどの能力も実力もなかっただろうから、加耶に住む倭種の仕業であったことは明らかだ。
後の時代にも倭人の侵攻記録がひんぱんに出てくるが、領土欲はなく、兵站の問題でもあったのか、長期にわたって占領したという記録はない。
これらの侵攻は海が静かな旧暦4~6月に集中。海が荒れる9月~翌1月は皆無だというから、これは対馬、あるいは北部九州の倭人による季節的な海賊集団であったという説がある。
日本書紀によれば、4世紀後半には大和朝廷が統一、韓半島南部を抑え植民地として任那日本府を作り、数万人と思われる兵を派遣して新羅や高句麗と戦ったということになる。この説をこれまでの連載で、当時の人口の問題、食料事情、武器の威力、兵を運ぶ船の問題など私なりに検証してみたが、どう考えても4世紀後半にそんなことは無理。

結論を急ごう。あとは歴史学者の先生の力を借りて結論としよう。
*「任那日本府は大和朝廷の出先機関ではあり得ず、安羅にあった日系人組織」(武光誠氏)
*「倭は一定の政治的、軍事的影響力は持っていたものの支配していたわけではない。加耶諸国は小さいながらも政治的独立を保っていた」(熊谷公男氏)
*「任那の宮家、すなわち倭王の直轄地であったということは日本書紀が作り上げた虚構である」(田中敏明氏)
*「任那日本府は任那に土着した日本人の政治的連合体で、大和朝廷とは直接には無関係」(旗田巍氏)
*「洛東江溪谷に発達した倭軍の兵站、屯田基地」(岡田英弘氏)
*「食料生産基地として管理すると同時に百済、新羅と対峙するための管理者や連絡員を置いた組織」(松本清張氏)
金官加耶は532年、他の加耶と任那日本府も562年、新羅によって滅ぶ。歴史学者の多くはその名前からするイメージほどの凄い組織とは認めていないようだ。
まずは司馬氏同様、加耶諸国が古代の日本に与えてくれた数々の文化と技術に感謝しよう。

金海の首露王の王墓。伝説ではその妃はインド人であったという。加耶人が海の交易民であったことを表わす(吉村剛史さん提供)

2401-17-06 6面
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