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2023年11月07日 13:11
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デイリーNK高英起の「高談闊歩」第49回
「ミサイル工業節」が無用な記念日に

 北韓の国会にあたる最高人民会議の常任委員会常務会議が行われ、大陸間弾道ミサイル(ICBM)「火星砲―17(火星17)」の発射実験に成功した11月18日を「ミサイル工業節」に制定した。新型ICBM火星17は、昨年11月18日に発射実験が行われた。金正恩総書記は最高指導者になって以降、核開発とミサイル開発に国家の力量を注入している。北韓の核ミサイル開発に対して国連をはじめ国際社会は厳しい目を向けているにも関わらず、わざわざミサイル発射実験成功記念日を制定する裏には、金正恩氏のミサイル開発に対する並々ならぬ執着心が見え隠れする。記念日を制定することで、核ミサイル開発現場のモチベーションを上げようという意図があるようだ。
一方で、核ミサイル開発に限らず北韓の化学実験現場では、事故が多発してる。デイリーNKの内部情報筋によると、2021年10月には、咸鏡北道(ハムギョンブクト)の清津(チョンジン)化学繊維工場で7人が重軽傷を負う爆発事故が発生した。工場内の朝鮮労働党委員会から「技術革新案を出せ」と迫られ、急いで実験を行った結果だった。政府は実験場所長と実験担当の研究者の2人を拘束し、事故発生からちょうど2年経った10月に処分が下された。所長と研究者は警察にあたる安全局で勾留され、所長は予審を受けている最中に獄死した。看守からの度重なる暴行が死因だった。安全局はコロナウイルス感染による病死として処理したが、党委員会に都合の悪い証言が出ないようにする口封じ、すなわち隠蔽だった。研究者は予審を終えたにもかかわらず抑留された。安全局は、研究者の家族に対して教化所への移送費用、つまりワイロとして25万北韓ウォン(約4250円)を要求。栄養失調で骨と皮だけにやせ細った研究者は、精神的ショックが大きく、家族に「どうせ死ぬのでも、ここから出て死にたい」と訴えた。家族は急いでカネをかき集めて安全局に渡し、ようやく移送が実現したという。
実験を急がせて事故を招いた工場内の朝鮮労働党委員会の関係者に対して処分が下されたかについては、情報筋は言及していない。いずれにせよ、事故の背景にあるのは「党の指導的役割」だ。
故金日成主席は1961年12月、南浦(ナムポ)の大安(テアン)電機工場を訪問したことをきっかけに、支配人が工場の経営を行う体制から、工場内の朝鮮労働党委員会が計画、技術、生産を総合的に指導する「大安の事業体系」を確立させた。経営の専門知識や技術を持った人物ではなく、「党の方針」しか知らない朝鮮労働党員に工場の一切を任せる体制だ。開発を行うに当たっても、技術者が「技術的に難しい」などと言おうものなら「敗北主義」などと批判され、無理やり進めさせられる。そして逆に技術の進展が遅れ、事故が多発し、多くの国営企業が経営不振、操業停止に追い込まれてきた。生産現場で党の方針を絶対化したことが、北韓の慢性的な経済難の根本的原因でもある。核ミサイル開発の成果が北韓の経済を向上させるわけではない。ミサイル工業節もいずれ「無駄な記念日」の一つに数えられるかもしれない。

2023-11-08 4面
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