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2023年09月20日 10:46
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東アジア文字考〜漢字を巡る遥かなる旅 第7回 水間一太朗
官僚と大手新聞社がもたらした国語の破壊

●GHQの占領統治を利用したローマ字論者たち

『現代かなづかい』や『当用漢字表』の採用は、GHQの国民愚民化政策の一環ではあったが、実際には日本に深く根を下ろしていたローマ字論者と漢字廃止論者の計画的な国語審議会乗っ取りにあった。公職追放などにより歴史を重視する国語学者は大学を追われ勢力を失った。これをチャンスとばかりに現代派は巻き返しを図ったわけだ。第一回から第五回の国語審議会の会長を務めたのは土岐善麿というローマ字論者であった。この流れに『ソビエト言語学』を論拠とした唯物論という思想的背景があったことはいうまでもない。
GHQの占領統治により展開されたWGIP(ウォー・ギルト・インフォメーションプログラム、戦争責任広報計画)では、神道指令などが遂行され、徹底的に日本の歴史が否定された。そのため、戦争責任において事実と異なる刷り込みが行われた。戦争拡大を後押ししたのは、朝日新聞などのマスコミとコミンテルンと繋がった戦争論者たちであった。これが肯定された。対して、戦争反対を唱えたのは神道界であり大亜細亜主義を唱えていた頭山満翁たちであった。これが悪者とされた。GHQは事実とは全く逆の宣伝を繰り返したのだ。ここにローマ字論者の亡霊が息を吹き返すことになる。


●唯物論と官僚が作り出した『現代かなづかい』

戦後採用された『現代かなづかい』には、日本の戦前の南方統治政策が大きく関わっている。南方諸国を統治することになった日本軍は、共通語として日本語を採用することになった。しかし日本語は複雑で難しい。高等な日本語教育を施しては統治は遅々として進まない。
ここに官僚たちによる文化を無視した統治論が頭をもたげるようになる。官僚たちは愚民化政策を行おうとした。これは戦後、GHQが行った日本への統治方法と同じだ。この流れが漢字廃止論やローマ字論と強く結びつくことになる。
これに対して、神道界と大亜細亜主義者は異を唱えた。なぜなら、アジアの民は等しく同じ赤子なのであって差別は許されないからだ。だから日本本土と同じ高等教育を進めなければならないと主張した。
これに業を煮やした内閣情報局は、流れとは別に、必要最低限の多言語マニュアルを作成することになる。これが一九四二年に刊行した『ニッポンゴ』である。これは慣用語300語をカタカナのみで表記し、助詞を簡略化したものを、マレー語、タイ語、ベトナム語、ビルマ語、タガログ語で訳した本だ。こうして、官僚と唯物論者の思惑は一致することとなった。漢字を廃して全てカタカナ表記としローマ字を併記する。これがそのまま戦後の『現代かなづかい』と『当用漢字表』に採用されることなったのだ。全くひどい話である。

●運動家・官僚・新聞社の思惑がもたらした愚策の正当化

『ソビエト言語学』を源流とする革命論、官僚たちのご都合主義、そして大手新聞社の利益優先主義、その三者の思惑が合致した時、『現代かなづかい』と『当用漢字表』という愚が正当化されることになってしまった。これに対して、国語学者の大野晋氏は次のように語っている。
「これはGHQの命令によるものではない。GHQの威力を利用した、運動家と官僚との合作である。そこに、漢字を減らせば効率の上で助かる新聞社の中の印刷、整理の人々が参加した。新聞社は効率を主に考えて、漢字の負担から脱したかった。そこで漢字制限を国の力で、つまり内閣訓令、告示という力を借りることによって正当化した」
正しく的を射た見解だ。失った言語は元には戻らない。国語審議会が犯した愚は、国家の未来に対する大いなる犯罪に他ならないのである。       (つづく)

 

『ニッポンゴ(タガログ語版)』の「ト・ノ」の使い方の部分

2023-09-20 6面
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