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2023年07月18日 12:13
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東アジア文字考〜漢字を巡る遥かなる旅 第6回 水間一太朗
国語審議会の混沌に内在する思想

国語の連続性を断ち切ることの弊害

戦後、日本人は突然に自国の古典が読めなくなった。国語審議会が『当用漢字表』で漢字を著しく減らし、『現代かなづかい』という訳の解らぬものに強引に変更したからである。国語の歴史的な連続性を断ち切ってしまったのだ。それまでは江戸時代の瓦版も浮世絵の小噺も全て読めた。ところが現代ではそれが不可能になった。学校では『古文』の授業が必要になった。歴史的な書物が現代かなづかいでしかわからなくなったのだ。そうなれば文化の連続性が途絶えることになる。源氏物語や枕草子は原文で読んでこそ美しい。それができなくなった。
韓国ではもっと大変なことになっている。漢字を排除してしまったので、わずか70年80年前の文献でさえ読むことが難しくなった。歴史的な論議を深めるには自国の古典に触れることが必須だ。それができないと過去の清算もできなくなる。歴史の連続性を強引に断ち切ると自国の命運をも断ち切ってしまうことになるのだ。一度言葉を失うと再び復活するには膨大な労力が必要だ。今、韓国の悩みは日増しに大きくなっている。

『現代派』と『歴史派』のせめぎあい


国語審議会の思想的背景は、カルチュラル・スタディーズの研究者である安田敏朗の著書『国語審議会 迷走の60年』がわかりやすい。カルチュラル・スタディーズとは、イギリスに端を発する文化研究の一派だが、マルキストによる総合的記号論がベースとなっており、言語学の分析においてもイデオロギー的性格が強い。そのため、共産主義者たちの言語操作の歴史にも詳しいのである。
彼は、国語政策の流れに『現代派』と『歴史派』があると分析する。
『現代派』とは、国語には地域的・階層的差異があってはならないとするものだ。言葉を簡素化し、漢字を廃しローマ字化を進める流れである。この流れを牽引したのは大手新聞社だ。なぜなら漢字を減らし活字を減らせば仕事とコストは大幅に改善されるからだ。新聞社の利益は増大するというわけだ。電子化が進んだ現代では活字の数など効率には一切関係ない。しかし昭和の時代までは、新聞社にとってこれが深刻な問題だったのである。だから漢字を減らす急先鋒となったのだ。また、このグループは敬語も差別に繋がるからとして廃すことを主張する。
対する『歴史派』とは、言葉は歴史的文化的なものであって、役人や新聞社の効率のために言語を変えてはいけないというものである。言葉は地域によって格差があるのは当然であり、職能分野においても言語が違うのは当たり前だ。また、敬語はそこに尊敬があるから発生するのであって使用するか否かは当事者間の問題だと主張する。
この『現代派』と『歴史派』との長い年月をかけた怨念をも含んだせめぎあいが『国語審議会』の迷走にあるのだという。的確な分析である。

根底に流れる「ソビエト言語学」


日本には1930年前後に『ソビエト言語学』が流入する。1939年には『左翼ローマ字運動事件』でプロレタリア言語学者が検挙された。この理論では、言語も共産主義理論により変化しなければならず、「民族語→民族語+国際補助語→世界語」と発展するので自国の言語をローマ字化しなければならないとするものである。この理論により、モンゴル国は固有のモンゴル文字を奪われソ連のキリル文字になった。それと同じことを日本でやらなければならないというのである。その一番のターゲットとなったのが敬語であり、敬語を廃して階級社会を撲滅するというのだ。その流れは深く日本に根付いていった。そして怨念を抱えたまま、日本は敗戦を迎えることになる。
(つづく)

 


「当用漢字表」により漢字は大幅に制限されることとなった

2023-07-19 6面
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