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2023年06月06日 12:24
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ドラマと文学で探る韓国8 ファンタジーが時代を救う②
ドラマ『還魂』× 小説『破果』

青嶋 昌子

 

 『Newsweek日本版』(ウェブ版2023年5月15日付)に掲載された記事によると、韓国人の老化が早まっているという。その理由として、過度のストレスが挙げられている。忙しすぎる仕事がようやく終わって帰宅したと思ったら、余暇でSNSや動画視聴と、脳が休まる暇がないからだというのだ。それなら日本人もまったく同じだと思うのだが、何がとりわけ韓国人にストレスを与えているのだろうか。
この6月28日から、韓国では数え年が廃止され、満年齢に統一されることが決まっている。これまで書類上では満年齢を記入しても、通常は数え年のほうを多く使用してきた韓国では、年齢を告げるときに間違えないようにと、生まれ年を言うのが慣例となっていた。この法改正を受けて「私、1歳若くなるんだよ!」と、韓国の友人が嬉々として知らせてきた時には、思わず笑ってしまった。
韓国に暮らしたとき、もっともストレスを感じたのはアガシ(お嬢さん)と呼ばれるか、アジュンマ(おばさん)と呼ばれるか、だった。社会人を経験してから留学した身としては、学友たちはごく一部の大学院生を除いて、ほぼ全員が年下である。一緒に課題を進めるにも、韓国語の実力が足りない上に、年齢が違い過ぎて互いになかなか本音が言えず、白熱した議論に至らない、ということがしばしばあった。そんな中で、アガシに見えるかアジュンマかは重大な問題だった。冒頭の記事を目にしたとき、見た目や年齢が大事な韓国で、老化が早まっているとすれば、それこそ何よりも大きなストレスになるだろうと思われた。
小説『破果』の主人公、チョガクは65歳。翻訳者の注によれば数え年だそうだから、64歳ということになる。殺し屋という特質上、体を鍛えているから、普通の60代よりは若く見えるかもしれない。だが、それも五十歩百歩である。いくつか若く見えようが老けて見えようが、大差はない。要は、傍から見れば高齢者だということだ。若く見られたいがために、髪を染め、整形で皺を取り、化粧でシミを隠す、そんな涙ぐましい努力を続ける高齢者は少なくない。韓国のベテラン女優、ムン・スクは「老化のプロセスには誰も逆らえません。これは勝ち目のない戦いで、惨めに敗れ去ることが決まっています。負けるとわかっているなら、そもそも戦わなければいいのです」(『VOGUEJAPAN』22/3/25)と語る。その潔さには拍手を贈りたいが、誰もがそんな風に割り切れるものではない。
ドラマ『還魂』を見てみよう。殺し屋ナクスは天下無敵と言われたにも関わらず、追い詰められて魂を入れ替えたムドクという少女の体は、軟弱なものだった。弱い体は殺し屋にとっては致命的だろう。彼女は自分がナクスであることを隠して暮らす。それは生き残るための選択でもある。この、魂を入れ替える「還魂」という妖術は、体と魂が合わなければ石化して死に至るという恐ろしいものだが、若さや美を得るために、この妖術を欲するものもいる。それが権力と結びつけば、最強、最悪の事態を引き起こすのだ。だが、弱いこと、老いていることの中にこそ、自分を守る術が隠されているともいえる。事実、チョガクもムドクもそうして自分を守って来たのだから。
やがて鮮明になっていく、チョガクとムドクの生き方について、次回さらに奥深く掘り下げていきたい。

2023-06-07 6面
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