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2009年09月02日 00:00
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法治危うからしめた国葬の挙行

 北の核開発を助けた金大中元大統領を韓国は国葬で送った。実定法は、国葬は現職大統領の死に際して執り行うとしている。79年の朴正熙大統領に対する国葬以来40年の間、前・元大統領に対する国葬は行われていない。元大統領の偉大な業績を理由に地域感情やカリスマ指導者に対する大衆の感情に譲歩して元大統領の国葬を挙行したことは法治に例外を設ける行為だった。法治主義に対する政府の過ちにほかならない。

傷ついた法治主義

 霊柩が国立顕忠院墓地に到着すると顕忠院は元大統領の棺を包んだ太極旗を畳み、遺族に渡したが、その後、太極旗は棺と一緒に埋葬された。この場面はテレビで中継された。しかし国旗法は、国旗は霊柩と一緒に埋葬してはならないと定めている。結局顕忠院は埋蔵された国旗を墓から掘り出した。米国でも星条旗に包まれた棺が墓地に着くと一緒に埋葬せず星条旗は畳んで配偶者など家族に渡されるという。元大統領の死を悼む感情と儀典は峻別しなければ法治主義は立ち行かない。

 李明博政権の国葬挙行は慣例を破った。韓国の法治主義の体面は傷ついたのでないか。自裁した盧武鉉前大統領への国民葬に続き、10年間の親北既得権勢力に対する李明博大統領の怖気づいた姿を表すものだ。金大中元大統領の死去はこの「親北10年」に名実ともに幕を下した。だが、無防備な親北政策を実験した時代の副産物を乗り越えて行くには、行政の行為に対する法の支配を積み上げていくことが求められている。

「6・15」への対応

 南側の国家連合制案と北側の低い段階での連邦制案に共通性を認め、その方向で統一にアプローチしようという謳った2000年の「6・15南北共同宣言」と北の「高麗連邦制」案の具体化との指摘を受けている07年の「10・4南北首脳宣言」の固守・履行をめぐって北は攻勢を強めている。しかし一言で、「6・15」は言葉であり、南の社会を揺さぶる手段となっている。あれから韓国の政権は3代にわたるが、金正日のソウル答礼訪問はなされていない。逆に、北の2度の核実験と国連安保理の制裁を招いたものが「6・15」だ。元大統領の死去に北当局は私的ルートを通じすばやく弔問団を派遣したが、金大中死後の「6・15従北勢力」にテコ入れを図るデモンストレーションだった。

 しかし、「6・15共同宣言」構想には分断体制止揚にあたって国民の犠牲を避ける個人尊重の原則、武力行使の否定など「人権宣言」がない。国家連合・連邦段階の南北間紛争の抑止という踏み込んだ規定もない。「統一に至る過渡期の特殊な関係」というあいまいな南北関係規定ではなく、主権国家として南北対等を謳った原則もない。91年に南北間に結ばれた「不可侵・交流協力」「韓半島非核化」合意書は北の核開発という重大な事情変更の前に無力化した。韓半島の北に出現した「核体制」を除かなければ平和・無血統一は難しい状況にあると言って過言でない。91年合意書の精神に立って南北間関係を再規定しなければならない課題が眼前にある。李明博大統領は北弔問団に対し、核問題が南北関係の核心議題であると明確にしたと伝わっている。「自主・民主・平和・非核」の統一4原則をもって南北関係を打開できるかが現下の課題だ。 

 元大統領が歩み多くの韓国国民大衆が共感した独裁から民主化への時代は、南北対立と競争と権謀の渦巻いた時代だった。対北スタンスを強硬に定めなければ韓国の進路を立てがたい時代でもあった。しかし同時に、韓日米の協力と同盟という戦略によって大韓民国の国力の方向と南北統一に対する韓国的立場が確立していく時期でもあった。国民が蓄積した韓国的立場に対する政治的経済的社会的確信が確固となっていった時期だった。いま、民主化が「親北」にぶれない韓国の進路が問われている。権力に対する法の支配と実定法を尊重する法治主義に立脚して「親北主義」を克服していくべきだ。

2009-09-02 2面
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記事: 統一日報社  
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